アルバムAtomic heartnの最後の曲ですね。
この曲はコード進行は一般的なものですね。Aメロはカノン進行の派生です。サビの進行はクリシェが用いられており、よく使われているパターンです。イントロは神秘的な感じですね。add9, sus4の効果だと思います。
コード進行(key=Cの場合、原曲はB♭、ノンダイアトニックコードを赤色)
イントロ
Fadd9 Gsus4/F x3 G
Aメロ
C C/B Am7 Am7/G Dm7 Em7 F G
C C/B Am7 Am7/G Dm7 Em7 F G
サビ
C C/B C/B♭ A7 Dm Dm/C# Dm/C G
C C/B C/B♭ A7 Dm Dm7-5
Am7 D7 F G
Cメロ
Em7 Am7 Gm7 Gm7/C
F Fm7 Fm7/B♭ E♭M7 Gsus4 G
アルバムAtomic Heartでは、それまでのミスチル路線とは大きく違う曲調の曲が入っていますが、この曲はそれまでのミスチルの路線らしい曲調です。
歌詞も失恋を扱ったものであり、そういった意味では、それまでのミスチルらしい歌詞ですが、それまでよりもリアルで、ディープな歌詞になっています。この曲に共感する人は多いと思います。
この投稿では3箇所の歌詞をピックアップしたいと思います。
まず1つ目のは
今となれば顔のわりに小さな胸や
というフレーズですね。どういう事?胸が大きそうな顔とかあんの?と問題提起するようなフレーズでもありますね。いろんな解釈ができると思います。
これに対して、例えば、ロリ顔なのに巨乳という文脈は成り立つと思います。顔は子供っぽいのに、胸は大きいというギャップ。その反対で、大人っぽい顔なのに、胸は子供みたいという解釈ですね。この曲は柴咲コウみたいな大人顔美人なのに、胸は小さいのかもしれません。
他には、顔を態度表し、胸は心を表す比喩表現として捉えられるかもしれません。強がっているけど、実はそんなに強くない女性なのかもしません。
このフレーズの意味の正解ですが、後に桜井さんがこの件でインタビューで答えている記事を読んだことがあります。正確には覚えていないのですが、以下のような事を言っていたと思います。
基本的に男は身長高い方がモテるし、点数は高い。それと同じで女性は胸が大きい方が、基本的にはモテる(世の中には貧乳フェチもいますが)。なので単純に顔はすごい美人で得点が高いけど、胸は小さくその部分の点数は低いという事ですね。男で言うと、顔は整っているが、背は低い。英語の偏差値は高いけど、数学の偏差値は低いみたいな。
この曲の主人公の男も基本的には御多分に洩れず、巨乳好きで、彼女の胸は正直物足りないなと思っていたのだが、別れてしまった今となっては、あの小さな胸さえ愛おしく思うという事ですね。
次は
”風が伝染るといけないからキスはしないでおこう”って言ってた
考えてみるとあの頃から君の態度は違ってた
というフレーズですね。非常に具体的な歌詞ですが、似たような事を思い返す人は多いのじゃないでしょうか。
本当に風邪をひいていたかは謎ですが、いろんなケースが考えられると思います。
実際に風邪をひいていなかったとしたら、もうダメですね。彼女は男としての魅力を感じなくなっていた、もっと悪い場合は生理的に無理になっていたのかもしれません。
風邪をひいていたかもしれませんが、少なくとも見た目でわかるような酷い風邪ではないのは確かだと思います。それでもキスをしたい気持ちが勝てば、キスをしてしまうと思いますが、それほどの情熱は無くなっていたのかもしれません。
もしくは本当に相手を気遣ってのことだったのだが、男が深読みし過ぎて、その後ぎこちなくなって、その結果二人の関係性が悪くなったのかもしれません。
男はきっと鈍感なのでしょう。言葉が足りないとぼやかれていましたし。たいてい、相手の気持ちがわからない時は、相手の気持ちが自分から離れている時だと、私個人は思います。
最後のフレーズは
いつか街で偶然であっても今以上に綺麗になってないで
多分僕は忘れてしまうだろうその温もりを
男らしい男なら、別れた女性に幸せになってもらいたいとか、成功してもらいたいと思うはずです。ですが、主人公の男は、別れた彼女に今より綺麗にならないで欲しいと思ってしまっている、小さい男なんですね。本気ではそう思っていないのかもしれないのですが、そういう考えが頭をよぎってしまったことは事実ですね。自分と付き合っていた時よりも彼女が輝いていたとしたら、自分と付き合っていた時間が否定されるような、そんな気持ちなのかもしれません。女々しい感じですね。
あと「温もりを忘れてしまう」という表現をしていますが、結構性的な意味が大きいと思います。基本的には男はヤリたい生き物なので。私もいろんな人と経験がありますが、その内容とかどんな感じだったのかと言うのは、思い出せないのですよね。夢が思い出せないように。
言うまでもないかもしれませんが、Overという曲は名曲だと思います。具体的な歌詞を出しつつ一般性を持たせ、いやらしい部分を歌っていたながら、爽やかな感じに曲を仕上げている桜井さんの才能に脱帽です。