例えば、会議等で座る場所が自由な時、空いている席が2つあったら、なんとなく、自分の気の合わない人の方は避けてしまいますよね。飲み会なんかのときも、やっぱり、自動的にそうなってると思います。成り行きで、気の会わない人達のエリアになってしまって、あまり、飲み会が楽しめなかった、という経験はありませんか?座ってる位置というのは心の距離を如実に現していると思います。今日、そんな事を実感する出来事がありました。
今日は研究室で2週間に1回、実験がどこまで進んだかを報告し、その結果について、皆で討論するゼミがありました。11時半に始まるのですが、M先生とが入ってくるときは、まだ2つ席が空いていました。そして、M先生は一旦、T教授の隣の席に座ろうと、近くまで来たが、0.7秒くらい躊躇して、そして、離れて、T教授からは遠い、もう1つの席に向かいました。明らかにおかしい、動きでした。
ダメじゃん、M先生!(ダメじゃんはM先生の口癖、発音も特徴的ですが、文字では言い表せません。僕がマネし過ぎて最近では言ってくれなくなりましたが)自分は部下なんだから、どんな上司でも仲良くしていかないと!4Å以上だと水素結合できないんだよ。
(Å:読み方:オングストローム 意味:原子の直径の長さ、1億分の1センチメートル)
2人の仲はその、0.7秒が物語ってたと思います。
まあ、でも、気が合う、合わないは自然なもので、無理に、どうこう、できるものではないですよね。(それでも、上手く人間関係をやっていくのが大人だと思いますけどね。)水と油は交じり合わないですから。
しかし、そうだからこそ、世の中上手く行くのかもしれませんね。全員、気が合う同士だったら、逆にダメかもしれません。きっといろんな性質の人があるから、何事もうまく回ってるんですよね。特に、会社などの組織はそうだと思います。
自然界もそんな感じです。
人間の体はタンパク質でできていると言えます。タンパク質は20種あるアミノ酸で構成されていて、アミノ酸の並び方によって、様々なタンパク質出来上がるわけです。DNAがコードしているのも、アミノ酸の並び方なのです。
アミノ酸には親水性のものと、疎水性(油のような性質)のものがあります。MはメチオニンでTはトレオニンなので、M先生が疎水性でT先生が親水性になるのかな。体脂肪率から見てもそうなるしね。
親水性アミノ酸と疎水性アミノ酸の側鎖は直接は相互作用はする事はできません。むしろ反発します。水と油が相互作用しないように。
僕はM先生がT先生への不満を言ってるのを聞きましたし、僕の研究室の同僚は、T先生がM先生への不満を言ってるのを聞かされたそうです。実際、彼ら連係プレー取れてないです。ATフィールド全開です。
しかし、複数の親水性アミノ酸と疎水性のアミノ酸がつながる事によって、様々な相互作用のネットワークができあがり、人間の設計では出来ないような、正確な3次構造を作り、人間では作れないような驚くべき活性のある、酵素が出来るのです。
研究室のみんな、彼らが直接相互作用できないのなら、僕らがもっと大人になって、間接的に相互作用できるように仕向けていってあげましょう。彼らに「もっとああなれば良いのに」、とか、「ああいうところが行かん」と思っても人はなかなか変われないものなのです。注意して、直るものではありません。それに、彼らにもいいところはたくさんあります。
今は、適切な3次構造をとる事が出来ず、アグっ(aggregation:凝集)てますが、最近、ちょっとはよくなってきてますよね。モルテングロビュールの状態(タンパク質の変性過程での中間状態の一種であって、天然状態と同程度にペプチド鎖がコンパクトに凝集し、二次構造を同程度に保つ一方、側鎖原子の運動性は変性状態と同程度に大きいという構造的特徴をもつ。)だと思います。
うちの研究室は超2次構造どまりですけど、いつかの日か、きれいな3次構造をとり、酵素活性を獲得出来るように、僕らで何とかしましょう。もっと言えば4次構造に。自分が変われば、人も変わるはずです。
偉そうな事言う前に、自分が変わらなきゃいけないですね。いつも話がマニアックですみません。